塾と通信教育の違いはアウトプットの量!【勉強が「できる」仕組みを解説】

塾の保護者説明会などでよく質問されるのが「塾ではどのような勉強をするのでしょうか?」というものです。とくに、授業の進め方や宿題(課題)の出し方など、塾の教務面について聞かれることがままあります。これは塾の教務面における役割が保護者にとってわかりにくいからでしょう。

例えば、「学校と塾」であれば、それぞれの役割の違いははっきりとしています。学校は総合的な人間形成の場であり、塾は学力や成績を向上させる場です。それでは塾と通信教育はどうでしょうか? 最近の通信教育はZ会や進研ゼミだけではなく、スタディサプリやアオイゼミといったオンライン(授業動画配信)のものも人気です。それぞれの役割はどのように違うのでしょうか?

シラタキ
シラタキ

休校中の学校の学習を補うものとして、スタディサプリやアオイゼミは大きな注目を集めています!

塾の特徴となる「対面授業」が通信教育の映像授業とどう違うのかは、保護者にとって知りたいポイントのひとつでしょう。今回の記事では、勉強の基本となる「できるようになる」ことを例にとって、塾と通信教育の違いをわかりやすく解説します。

「勉強ができるようになる」とは?

塾の役割を説明する前に、まず「勉強ができるようになる」ことについて考えてみましょう。児童・生徒が勉強を「できるようになる」までのステップは以下の3つです。

  1. わかる(=インプット)
  2. 覚える(=スループット)
  3. 解ける・できる(=アウトプット)

私たちが新しいものを学ぶときには、上の3つのステップを通ります。これをわかりやすく説明するために、中1数学の最初の単元として習う「正負の数」を例にとりましょう。

できるまでのステップ

「正負の数」は数直線を使って、+(プラス)とー(マイナス)の概念を学ぶ単元です。初めて数学を習う中1年生は、学校の先生から「正と負」の説明を受けることで、新しい知識と考え方を理解(わかる)します。

理解をした後は、数直線・原点(=0)・絶対値などの言葉や正と負の大小関係についての考え方を覚える作業です。理解をしながら脳にためた知識を、しっかりと留めておくことが「暗記」と呼ばれます。

MEMO
「覚える・暗記する」というのは、脳に留められたものを出力(アウトプット)できるようになることです。

最後のステップは、理解して覚えたものを使って問題を解くことです。正負の大小関係の問題を解ければ、勉強ができるようになったと言えます。私たちはこのステップを踏むことで、新しいことを学んでいくのです。

勉強ができる生徒は、このステップがわかっている

勉強ができる生徒ほど、このステップをしっかりとわかって実践しています。定期テストで高得点をとる生徒の多くは、理解をしながらどんどん吸収することが大切で、覚えてから問題演習を繰り返すことが「できる」につながるのだとわかっているのです。

定期テストで思ったような点数をとれない生徒は、試験の直前になってもインプットに時間をかけます。教科書に蛍光ペンで線を引いたり、英単語帳をつくったり、学校の授業で習ったことをノートにキレイにまとめたりなどは、インプットの作業なので、それはテスト直前の勉強ではありません。

理解したものをしっかりと覚え、それから問題演習でアウトプットしないと、いつまで経っても「わかる」状態にならないのです。定期テスト直前期であれば、インプット:アウトプット=2:8くらいの割合でないと、高得点はとれないでしょう。勉強ができる子ほど、アウトプットの演習を徹底して繰り返すのです。

このステップは、自転車に乗れるようになるまでを例にとるとわかりやすいと思います。どうすれば自転車に乗れるかを頭で「理解」したとしても、練習をしなければ乗れるようにはなりません。転んでも転んでも、身体が自転車に乗る感覚をつかむまでは、アウトプットの「練習」が必要なのです。

インプットとアウトプットで見る学校と塾の授業の違いは?

勉強ができるようになるまでのステップがわかれば、学校と塾の授業の違いもはっきりとしますよね。それぞれの授業におけるインプットとアウトプットの割合を考えてみましょう。

インプットとアウトプウトの割合

  • 学校の授業:7:3
  • 塾の授業=4:6

中学校では新しい単元を勉強するときに、インプットをメインとします。新しい知識を教え、いくつかの問題を解説する、これはどちらもインプットです。もちろん学校の授業のなかでも生徒が「類題」を解く時間はありますが、アウトプット量としては多くありません。

それに対して、塾の授業ではアウトプットに力を入れます。とくに対面授業においては、生徒が演習しているところを講師が近くで見れるため、アウトプットの「質と量」をその場で調整することが可能です。「もうちょっと問題を解くパターンのインプットが必要だな」、「もっと演習量を多くする必要があるな」などを生徒の様子から把握するのが塾の講師の務めだと言えます。

塾の定期テスト対策はアウトプット

神奈川県の多くの塾では「定期テスト対策」を行っています。この対策はふつうの授業とは異なり、テストで点数をとるためのアウトプットがメインです。とにかく、「できる」状態になるまで繰り返し演習をします。ここでの塾の講師の役目は以下の2つです。

  1. 効果的な演習問題の選定
  2. 演習での生徒のつまずきをチェック

定期テストを分析した上でどのような問題を演習するのが効率的なのかを考えること、演習でつまずいている生徒にアドバイスをすることなどを講師は行います。勉強ができる子は定期テストで高い点数をとるための演習方法を考えることができますが、勉強に慣れていない子には塾講師のヘルプが必要です。

定期テストの実力問題はアウトプットの質と量が問われる

塾は試験対策として、中学校の定期テストの過去問を演習させるとよく言われますが、それは一部(半数かもしれませんが)に過ぎません。最近は神奈川県の入試の難化(2013年〜)にともない、中学校の定期テストにおいても思考力・判断力・表現力を問う「実力問題」の出題が増えています。そのため、教科書内容だけをメインとしていた過去問は通用しなくなっているのです。

定期テストの実力問題を解くには、それまでに繰り返した演習の質と量が問われます。どのような問題であっても焦らずに解くことのできる子は、質の高い良問の演習を繰り返し行っているのです。教科書内容も実力問題も「できる」状態にすることが塾の役割と言えるでしょう。

通信教育のインプットとアウトプットの比率は?

それでは通信教育のインプットとアウトプットの比率を考えます。通信教育といっても、映像授業の配信がメインのコンテンツとなっているスタディサプリとアオイゼミ、もともと紙ベースのZ会と進研ゼミはわけておきましょう

スタディサプリとアオイゼミ

  • インプット:アウトプット:7:3

スタディサプリのCMなどを見ればわかりますが、映像配信型の通信教育は「有名講師の授業」がウリです。それらの授業は新しい単元の説明と問題の解説というインプットがメインとなります。つまり、インプット・アウトプットの比率は学校の授業とほぼ変わりません

むしろ、生徒と講師が双方向でコミュニケーションがとれないことから、アウトプットの質は学校よりも落ちるでしょう。オンラインの通信教育は、勉強を「できる」ようにすることよりも、「学校の補習(あるいは予習)」がメインとなります。

Z会と進研ゼミ

  • インプット:アウトプット:6:4

Z会と進研ゼミ(ベネッセ)は、どちらも市販の参考書や問題集を出版しており、質の高い「問題」作成に定評のある会社です。オンラインの通信教育よりもアウトプットの比率が高いものの、どうしても塾よりは少なくなります。

まとめ

勉強ができるようになるためには問題を繰り返し演習しなければなりません。そして、この繰り返しの反復練習は頭を働かせながらコツコツと行うものなので、子どもたちはハードな勉強だと感じるでしょう。でも、このステップに慣れてしまえば、「できる」までのスピードが格段に上がるのです。

学校はインプットをメインに新しいものを生徒に教え、塾はアウトプットをメインに生徒をサポートします。この「解ける・できる」の状態になるまで、生徒ひとりひとりと向き合うことが塾の役割なのです。

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