学校のテストの点数は子どもだけではなく、お父さんやお母さんにとっても気になるものです。保護者からすると、自分の子どもたちが「テストでどれくらいの点数を取れたのか?」はついつい気にしてしまいますよね。
でも、ちょっと待ってください! 子供がもって帰ってきたテストの点数に一喜一憂するだけで、そのまま解答用紙をほったらかしにしていませんか?
目次
テストを放ったらかしにすると大変なことに……?
もし、解答用紙を見返さずにそのままにしておく習慣がついてしまうと、子どもの学力低下を招くことになるかもしれません。そうなる前に、お手もとにお子さまのテスト用紙があるなら、以下の3つのポイントをチェックしてみてください。
- 文字や数字が雑に書か れていないか?(誰が見ても文字を判別できるならOKです)
- 家にもってかえってきたテスト用紙がクシャクシャになっていたり、破れたりしていないか?
- 間違えた箇所をやり直してあるか?
上の3つはお子さまが意識すればすぐにできる(取り組める)ことばかりです。ただし、この3つをきちんとできない子供は「面倒くさい病」にかかっているかもしれません。
面倒くさがりだと学力が下がる?
「面倒くさい病」にかかっている子どもはどのような特徴があるのか、ここでは私がこれまでに出会った女の子の例を上げてみます。
何から何まで「面倒くさい!」と口にする女の子
私が教えていた生徒のなかで、何から何まで「面倒くさい」と口にする中2の女の子がいました。塾にきたばかりの頃の彼女は英語と数学にかなりの苦手意識をもっていて、問題を解いてもポロポロと間違えてしまいます。
例えば、「彼女は先生です。」という日本文を英文にしなさいという問題を彼女が解くと
と解答欄に書きます。この英文にはいくつかの間違いがあるのですが、それらをひとつずつ彼女と確認すると、決まってこのように答えるのです
そして、それぞれの間違いについては以下のようなやりとりが……
◯he→she
◯英文は大文字で始める
◯teacher→a teacher
◯英文に最後はピリオド
これらは彼女に限ったことではありません。例えば、「I」と「We」を区別しない子どもたちもいるのです。その子たちに正しい書き方を伝えると、「わかった」と言うだけで直そうとはせず、放ったらかしにしてしまいます。もし、直すように促すと、「面倒くさいな〜」とお決まりのセリフを口にします。
そう、彼または彼女(たち)にとって、「彼と彼女」、「私」と「私たち」は「ほとんど同じものだからどっちでもいい」ものなのです。今まで区別していなかったものを「直しなさい」と言われたら、子どもたちは「面倒くさい!」と反発しますよね。そうならないためにも、テストを放ったらかしにしてはいけません。
間違いを解き直すことが嫌い
間違いをやり直すことを極端にイヤがる子どもたちがいます。その子たちは、間違いについて指摘されると、「わかった」というだけで直そうとしません。さらに、間違えたところを解き直すように促すと、「面倒くさい」というお決まりのセリフを口にするのです。
「面倒くさい」の本心は?
子どもたちの「面倒くさい」という感情の奥には、どのような気持ちが隠れているのでしょうか? それはおそらく以下のようなものでしょう。
- 怒られるのがイヤ
- 恥ずかしい
- 同じ問題を解くのがつまらない
子どもたちは小学校から本格的な集団での「学習」をはじめ、問題を解いたり、テストを受けるなかで、間違った答えに対して「どうして間違えたの?」とか「こんな問題もわからなかったの?」などと、大人から言われた経験を少なからずもっています。
このように子どもが思ってしまうと、解き直すことに拒否反応を示し、間違えることそのものを受け入れることができません。
そして、そのまま子どもたちが「面倒くさい」を続けると、認識力の低下による思考力と学力の低下へとつながります。勉強の苦手な子どもたちに教えていると、「思考力」よりも「認識力(=区別する・グループ分けする力)」が落ちていることを痛感するのです。
区別や識別が苦手
わからないことや間違えたこと、テストでは解けたけれど「なぜそうなるのかがあやふや」なところについて、きちんと理解して覚える、という作業は誰にとっても楽なものではありません。
ただし、手間のかかることだからといって、間違えたものをきちんと直すことから遠ざかると、さまざまなことを区別することができなくなります。結果として「認識力の低下→思考力の低下」のループにはまってしまうのです。
例えば、「book」と英単語をつづりたいときに、アルファベットの「b」と「d」がわからなくなり、「まぁ、いいか」とその場で覚えることをしないままだと、テストや問題を解くときに「また」わからなくなってしまいます。
間違えることは悪いことと子どもは感じる
とは言え、「覚えなさい!」と大人がガミガミと口を出したとしても、それを必要だと感じなければ、ほとんどの子どもは覚えようとしません。口調や話し方から自分が非難されていると感じると、子どもは大人の「◯◯しなさい!」を拒絶します。そしてその状態が続くと、間違えることを避けるために、
- 問題を解かない
- 間違ったものを隠そうとする
- 字を雑に書いて読めないようにする
という行動を起こすのです。
正しく覚えるためには間違えてもOK!
勉強における間違いは、道徳的に「悪」なことではありません。
勉強においては、上に書いた数式が正しいのか誤っているのかの真偽のみが問われます。その正誤させ覚えていればOKなので、難しく考えることはありません。間違えることは「悪い」ことではなく、正しく覚えて考えるために必要なことなのです。
字が汚いことも面倒くさいから
子どもが字を雑に書く理由はざまざまなものがあるものの、大きくは以下の2つのパターンに分けられるでしょう。
- 計算が速いために雑に書く
- 読まれたくないから雑に書く
公文などの教室に通っている子どもたちは、「計算スピード」を重視する傾向にあります。暗算でパっと答えが出せる、計算のスピードが速い子ほど、書くことを面倒くさくなり、字が雑になる傾向にあるのです。
それに対して、読まれたくないから雑に書く子は、間違えるのがイヤだという心理が働いています。この症状がさらに進むと、答えを書かなくなってしまうのです。
2つのパターンともに面倒くさいという気持ちが働いていますが、いずれもそれを繰り返していると認識力が下がります。暗算が速くできることはメリットとも言えますが、高校数学などで計算が複雑になると、筆算をして文字を残しておくことは見直しをする上でも大切なことです。
雑に書く子は自分の書いた字を読まない
字を汚く書く子ほど、自分の書いた字を読んでいません。そのため、解ける問題でも計算ミスをしたことに気付かなかったり、ひどいときには自分が何を書いたのかを覚えていないこともあります。私たちの記憶は、
ことで定着します。そのため、書いたものを読む機会が減ると、このサイクルが回らずに頭で認識することにも支障が出てくるのです。
読めない字は答えにならない
テストの解答として、採点者が読めない字を書いたとしたら、それはバツになりますし、答えとして認められません。テストでは相手に答えを伝えてこそ、「正解」になるのです。
テストはコミュニケーション
テストは先生と生徒とのコミュニケーション。学力が身についていることを、教えた側の先生にしっかりと伝えなければなりません。そのため、相手に伝わらない字であれば、答えとして成り立たないのです。テストを受けるときは、自分の考えが正確に相手に伝わるように、意識して文字を書きましょう。
テストを活用して認識力を上げよう!
テストと聞くとイヤな顔をする人が多いのですが、それはとてももったいない話です。先にも述べたように、先生とのコミュニケーションであるテストは最大限に利用しましょう。そのために、以下の2つをチェックしてみて下さい。
- 誰が見ても読める字で書かれているか?
- 間違えたところは、どこが誤りなのかを発見できるか?
これらのポイントをクリアしていたら、いよいよ誤りを直して、正しいものを覚えます。解き直しをするときは必ずノートに書くようにして下さい。問題文も合わせてノートに写すと効果的です。
子どもの学力の成長はそれぞれに異なる
手間をかけて解き直しをしたからといって、完全に理解できる子どももいれば、部分的にしか理解できない子どももいるでしょう。ただ、そんなときは焦らずに、解き直した問題を日にちを空けてもう一度解いてみて下さい。
同じことを繰り返しているうちに、子どもたちの理解も定着していきます(手もとに似たような問題を用意できるなら、それを解くことも勉強になります)。
まとめ
「面倒くさい病」にかかると、正確さが失われ「だいたい合っているから」という曖昧な状態を続けることに……。基礎的なことであればあるほど、曖昧なままにしておかず、正しく覚えることが重要です。よくわからないまま学習が進むと、子どもたちは「あっ!」という間に取り残されてしまいます。
ひとつひとつの単元をしっかりと身につけ、問題を正確に取り扱えるようになること、それが成績を向上させるうえでもっとも大切なことなのです。
皆さんは、テストを放ったらかしにしていませんか?