高校受験は塾に通わなくて大丈夫なの?【中学生の入試対策】

公立の中学校に通う生徒が高校受験を「意識」するのは、2年生の冬休み明け〜1月末だと言われます。3年生は受験に向けてピリピリし始め、2年生の多くが塾に入るのもこの頃です。

とくに神奈川県は公立高校入試が2月14日前後から始まること、2年生3学期の内申点が高校入試選抜の評点になることから、この時期に「塾に入らないまま高校受験をしても大丈夫なのか?」と悩む2年生は多いでしょう。

高校受験は塾に通わなくて大丈夫なの?

高校受験をするのに塾へ通う必要があるのか、それとも塾なしで大丈夫なのかは、中学生のお子さんとご家庭それぞれによって答えが異なります。

シラタキ
シラタキ

なぜ「答え」が異なるのでしょうか?

塾が必要かどうかは生徒それぞれで異なる

塾が必要かどうかは人それぞれで異なるからです。それは以下の理由によります。

  1. その生徒の学力と性格
  2. 現在の学力&内申点と志望校の隔たり
  3. 志望校が県内のトップ

1. 学力と性格

定期テストの5教科すべてがいつも80点を超えている学力があれば、塾に通うことなく受験の勉強をしてもOK! 地域の「中堅校〜上位校」と呼ばれる公立高校に合格することは可能でしょう。

性格面ではひとりでコツコツと勉強ができる、自ら目標を立てて勉強ができるのであれば、塾なしの受験でも不安はありません。

MEMO
定期テストはそれぞれの中学校によって問題のレベルがまちまちです。そのため、80点を超えていれば「上位校」に受かるだけの学力があるとは言い切れないこともあります。

2. 現在の学力&内申点と志望校の隔たり

塾は志望校へ合格するための目安となる「入試の点数+内申点」のデータをもっています。そのため、通っている生徒の「学力&内申点」と合格の目安となる点数を照らし合わせ、それぞれの子どもに適した勉強の計画を立てることができるのです。

その際、学力&内申点と志望校に隔たりがある場合は、それをどのように埋めるのかを塾側は生徒さんとご家族に提案します。とくに大きな隔たりがあるなら、塾を利用せずに受験勉強の計画を立てるのは難しいこともあるでしょう。

3. 志望校が県内トップ校

塾へ行かずに県内のトップ校(神奈川県では湘南高校や横浜翠嵐など)を目指すのであれば、2年生3学期の時点で以下をクリアしている必要があります。

  • 2年3学期の内申点の合計が42〜45
  • 2年学年末の合計が450点超
MEMO
9教科オール5は内申点が45
英・数・国・理・社はオール5が望ましい

この条件をクリアしていれば、スタート地点に立ったと考えて下さい。中学校によって内申点の付け方や定期テストのレベルはまちまちなので、この条件をクリアしているから「大丈夫!」とは言い切れません。

ただし、これだけの学力があれば、3年生の1年間でしっかりと受験勉強をすれば、塾へ行かずとも県内トップ校へ合格する可能性もあるでしょう。

塾へ通わない理由は?

塾へ行かずに高校受験を成功させることは可能です。ただ、高校受験をする上で、「塾なし」にこだわる理由はどこにあるのでしょうか?

  1. 子どもの個性を尊重
  2. ご家庭の経済面
  3. 金銭面での節約

塾に通わない理由をそれぞれ考えてみましょう!

1. 子どもの個性を尊重

子どもはそれぞれに個性があります。例えば、どうしても集団行動が苦手であったり、友だち付き合いにストレスを感じてしまうなど、塾に通うことがマイナスの場合もあるでしょう。

もし、子どもの個性を尊重したものであるなら、それは良い選択だと言えます。子どもの気持ちにしっかりと寄り添うことも、「学び」を続ける上で大切なことです。

2. ご家庭の経済面

経済面を考えると、1年間で数10万円もの費用がかかる塾に、子どもを通わせられないご家庭もあるでしょう。現在、コロナ禍で経済的に苦しいご家庭もあることから、今後は塾へ通えない子どもが増えるかもしれません

MEMO
経済的に苦しいご家庭では、公立高校への進学が必須となります。そのため、とにかく1点でも内申点を上げておくようにしましょう。

3. 金銭面での節約

公立高校受験を専門とした進学塾の場合、3年生1年間にかかる費用は50〜65万円ほどと言われています。これは大きな金額であるため、できれば金銭面での節約を図りたいと考えるご家庭もあるでしょう。

ただ、お子さんの希望する公立高校への進学を考えているご家庭は、この節約について一度立ち止まって考える必要があります。

3-1. 公立高校受験は1年に1回

神奈川県の公立高校の受験は、1年に1回しかありません。つまり、どうしてもその公立高校に行きたいのであれば、1年浪人する必要があります。

もし、公立高校が不合格だったとしたら、どうしますか? そうですよね、多くのご家庭ではお子さんを私立高校へ通わせるでしょう。そして、私立高校の学費は公立高校とは較べものになりません。

3-2. 私立高校に通う費用も考えておきましょう

塾へ通ったからといって、必ずしも希望する公立高校へ合格できるとはかぎりません。ただ、金銭面の節約だけの問題であれば、3年間の私立の学費と1年間の塾代とをてんびんにかけて考える必要があります。

どうしても私立高校へ通わせたくないのであれば、お子さまの学力と内申点で確実に合格できる高校を受験しましょう。それは、その子の学力よりも1〜2ランク下の高校を受験することを指します。

金銭面の節約から塾に行くかどうかを決める場合、これらのすべてを検討をしておきましょう。ご家庭でしっかりと最悪のシミュレーションも想定した上で、金銭面の節約をするのがベストです。

塾へ通わずに志望する高校へ合格するには?

ここからは塾へ通わずに、希望する高校へ合格するための方法を説明します。もっとも重要なのは志望校の選び方です。お子さまの学力と志望校の偏差値が一致していれば、受験に成功する確率は高くなります。

志望校が県内トップ校であれば、模試を受けることは必須!

県内トップ校を志望するのであれば、先に上げた2つの条件をクリアしていることが重要です。さらに、3年生になったらすぐに模試(神奈川県の場合は全県模試)を受けて下さい。

神奈川県のトップ校は英・数・国・理・社の5科目にプラスして、それぞれの高校が独自に指定した「特色検査」が課されます。特色検査は教科の枠を超えて、「思考力・判断力・表現力」を問うものです。例えば、月の満ち欠けについての英文を読み、日本語で自分の意見を答えるなどの問題が出題されます。

神奈川の全県模試は「特色検査対策模試」も実施しているので、忘れずに受験しよう!

特色検査は公立の中高一貫の入試と似ていて、総合的な思考力と正確性、スピードが問われます。中高一貫校を受けたことがない生徒だと、中学校で習うことのない問題に戸惑うかもしれません。もし、初めて受けた特色検査で偏差値が60を超えるようなら、塾に通わずとも県内トップ校に合格する可能性も十分でしょう。

特色検査対策はとにかく過去問を解こう!

特色検査はとにかく「慣れ」が必要です。慣れるためにも似たような問題を解かなければなりません。そのため、特色検査の過去問は必ず購入しましょう。

神奈川県 公立高校 特色検査 2020年度用

MEMO
2021年度版は今秋に発刊予定

3年生では先取り学習を!

3年生では学校の先取り学習を心がけましょう。少なくとも10月末までに英・数・国・理・社の教科書内容はすべて終わらせて下さい。11月〜入試までの3ヶ月半で入試問題と特色検査の演習ができるようにスケジュールを組み立てる必要があります。

先取りに使用する参考書+問題集は市販のものでOK。県内トップ校を狙う学力があれば、書店で自分に合った本を選ぶことができると思います。しっかりとやり切れるものを選びましょう。

上位校志望なら、とにかく内申点を上げる!

志望校が県内の上位校であれば、内申点を上げることが最優先です。まずは2年生3学期の内申点が40を超えるように勉強をしましょう。3年生になるまでの勉強はとにもかくにも定期テストに重点を置いて下さい。

3年2学期の定期テストの前までに先取り学習を終える

神奈川県の入試で使われる内申は「2年の3学期+3年の2学期」です。内申点に直結する3年2学期の定期テストに向けてしっかりと勉強の時間をとるためにも、先取り学習は10月末までに終わらせましょう。

MEMO
英・数・国・理・社の教科書内容は、最低でも11月半ばまでに終えるようにして下さい。

外部模試を受け、入試に必要な得点を知る

上位校を目指すのであれば、内申点だけでなく、入試においてもしっかりと点数を取らなければなりません。外部模試を受け、合格に必要なおおよその点数を確認しましょう。

入試の合格ラインがわかったら、次は英・数・国・理・社において、自分がどの科目で何点とるのかを配分します。これは想定でかまいません。点数の配分が出れば、入試までにやらなければならない勉強量もわかります。

上位校に合格するには、勉強だけではなく、入試の情報をしっかりと集める必要があります!

志望校が中堅校

志望校が中堅校であれば、とにもかくにも内申点を上げて下さい。定期テストできちんと点数をとり、提出物をしっかりと出していれば、9教科オール4も夢ではありません。

内申点の目安は35! 理想は9教科オール4

前にも書いたように内申点の付け方は学校によってまちまちです。中堅校の内申点の目安は32〜35なので、まずはオール4を目指しましょう。神奈川県はとくに「中堅校」の幅が広いので、どの高校を受けるのかによって必要な内申点が大きく変わります。

志望校のランクを下げないように、内申点35以上をキープすることが大切です。とにかく1でも2でも内申点を上げることで、アドバンテージをもって入試に臨めるようにしましょう。

社会だけは先取りを!

中学の5科目のなかで、入試のギリギリまで教科書内容が終わらないのは社会です。授業の進度に合わせていると、公民の経済分野の勉強が間に合わなくなります。社会は2学期の期末が終わり次第、自分でどんどん学習を進めましょう。

英語・数学の入試対策について

神奈川県の公立高校へ合格するための近道は、とにかく内申点を上げることです。これは県内トップ校から中堅校まで変わりません。とは言え、試験でしっかりと点数をとることも必要なので、ここからは受験生にとって入試対策が必須な英語・数学について解説します。

1. 英語の入試対策

2020年度入試の英語は平均点が49.4と昨年とほぼ変わらない点数となりました。この点数は5科目のなかでも最低です。ただ、英語の問題が他の4教科に較べて難易度が高いかというと、そうではありません。

問題別の正答率を見てみると、もっとも高いのが問3(エ)の79.5%、もっとも低いのが問5の13.3%となっています。多くの問題が正答率30〜60%の間に入っており、特別に難しい問題はありません。

参考 神奈川県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果神奈川県HP

この問題の正答率であれば、トップ校を目指す生徒は90〜100点、上位校は80点前後が平均点となります。とにかく、上位校以上を目指すのであれば、「英語で点数を落とさない!」ことを心がけましょう。

1-1. 英語は問6〜8の長文読解と資料読み取りを落とさない

入試の英語でもっとも配点が高い(1問5点)のは、問6と問8の長文読解と問7の資料の読み取りです。この問6〜8で40点あり、ここを取りこぼさないようにしましょう。まずはこの形式に慣れることが先決です。

1-2. リスニングはNHKのラジオ放送「基礎英語1〜3」を聴く

英語のリスニングは一長一短で身につくものではありません。また、毎日のように英語を聴いていないと、すぐに感覚が鈍るのも大きな特徴です。そのため、リスニングは毎日聴くのが鉄則! オススメなのはNHKのラジオ放送「基礎英語1〜3」です。NHKのラジオを聴いて、英会話に慣れておきましょう。

1-3. 英単語と英文法は3年生の10月までに完成させる

3年生の11月〜試験本番の期間は総合的な入試対策を行うので、英単語や英文法に時間を割くのはもったいないです……。また、単語や文法は英語の問題を解くための「基礎」なので、3年生の10月までにしっかりと中学の内容を完成させておきましょう。

英文法は10月までに関係代名詞をしっかりと終わらせておこう!

2. 数学の入試対策

数学は2020年度に問題構成が大きく変わりました。2019年度までは問7に「図形の証明(3問)」がありましたが、2020年はこれが問3の小問集合に組み込まれました。これによって、正答率が10%を切っていた問7の(ウ)がなくなり、難易度も下がっています。

2020年度でもっとも正答率が低かったのは問6の(ウ)の0.5%です。1%を切る正答率ですから、トップ校を目指す生徒でも正解することが難しかったでしょう。あまりにも難易度の高い問題はスルーをオススメします。

これまでの数学は問題の半数が「正答率80%」と得点差がつきにくい科目でした。ただ、2020年度からは難易度がいくらかなだらかになり、中堅〜上位校を目指す生徒たちのなかでも点数にバラツキが見られるようになっています。

2-1. 計算は正確さとスピードを高める

50分の試験時間でしっかりと問題を解き切るには、計算の正確さとスピードを高める必要があります。どの偏差値の高校を受けるとしても、とくに問1と問2の(ア)〜(オ)はノーミスが必須。また、ここをいかに素早く解くかも大切です。

計算は日々トレーニングしていないとスピードが遅くなるので、短い時間でも必ず1日に1回は「計算問題」を解くようにしましょう。教材は市販の問題集で十分です。計算問題だけがまとまったものもありますので、書店でチェックしてみて下さい。

2-2. 正答率5%以下の問題について

神奈川県の数学は正答率5%以下の問題が数問出題されます。これは「どの偏差値の高校を受けるか」によって、解く・解かないがわかれる問題です。例えば、2%を切る正答率であれば、トップ校を狙う生徒であっても解く必要はなく、他の問題に時間がかけるのがベストです。

上位校までであれば、正答率が5%を切る問題はスルーでもOK。そこに時間をかけるよりは、他の問題でミスをしていないかの見直しをしましょう。ただ、数学を得点源にしている生徒は、時間があるのなら5%を切る問題に挑戦してもOKです。

2-3. 2次関数・平面図形・空間図形

受験生を悩ます問題と言えば、問4(ウ)の2次関数、問3(ウ)の平面図形(相似比)、問6(ウ)の空間図形でしょう。これらは正答率が5%以下(2019年度は3%以下)なので、ひとりで勉強するのはかなり骨が折れます。塾に行くかどうかで差が出るのは、これらの問題を解く力が身につけられるかどうかでしょう。

上位校〜トップ校を目指す生徒さんであれば、解説を読んだり、学校の先生に質問するなどして、そのときは「なるほど!」とわかるはずです。ただし、新しい問題になったときに、パッと解き方をひらめくことができるのかは「?」がつきます。

塾では難問と呼ばれる2次関数・平面図形・空間図形について、どうすればパっとひらめいて正解にたどりつけるのか、筋道を立てて解説します。つまり、ひらめきの再現性を高める「思考力」を指導するのです。では、ひとりで入試対策をするときはどのようにすればよいのでしょうか?

ひらめきの再現性を高めるには、「塾の先生」になったつもりで、どうすればわかりやすく人に解説できるかを考えよう

受験生である皆さんひとりひとりが、どうすれば他の人にわかりやすく解説できるのかを考えると、「ひらめきの再現性」は高まります。他の人に伝えようとすることで、「コレとコレが問題を解くヒントになってるんだ!」などのつながりを発見できるのです。

3. 英語・数学の過去問

神奈川県の公立高校入試の過去問は5年間なので、入試の演習量としてはもの足りません。では、良質な問題を手に入れるにはどうすればよいのでしょうか?

3-1. 全国高校入試問題正解 シリーズ

入試の問題演習にピッタリなのが旺文社から刊行されている「全国高校入試問題正解 シリーズ」です。問題量と質が十分にあり、解説も付いているので、ひとりで学習する生徒にピッタリ! 新年度版は毎年6月頃に出るはずですから、チェックをしておきましょう。

また、神奈川県の入試は2020年度の数学のように傾向が変わることがままあります。全国の高校入試の形式を解いていることで、新しい形式が出ても動じずに問題を解くことができるようになるでしょう。

まとめ

塾へ通わずに志望の高校へ合格することは可能です。でもその前に、この記事に書いてあることを読み、ご家庭でお子さんとしっかりと話し合って塾に通うかどうかを決めるようにしましょう。

お子さんが「コレならできるかも!」と思われたとしても、ひとりではなかなか勉強が進まないこともあります。ひとりで苦しそうにしているのなら、保護者の方は柔軟に対応して下さい。もっとも大切なのは、塾に行くかどうかではなく、お子さんが志望校に合格することなのですから。

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